消費税に関するあらゆるルールは、日本国憲法が定める租税法律主義に基づき、国会によって制定された「消費税法」という法律によって厳格に定義されている。政府や税務署がその場の判断で恣意的に税率を変えたり、課税対象を決めたりすることはできない。
消費税法(昭和六十三年法律第百八号)
この法律は、消費税について、課税の対象、納税義務者、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。
https://laws.e-gov.go.jp/law/363AC0000000108
「消費税法」には、以下のような消費税の根幹をなす項目が詳細に定められている。
- 納税義務者: 誰が消費税を国に納める義務を負うのか(原則として国内で課税資産の譲渡等を行った事業者)。
- 課税の対象: 何に対して消費税がかかるのか(国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡、貸付け及び役務の提供と外国貨物の引取り)。
- 非課税取引: どのような取引には消費税を課さないのか(土地の譲渡、社会保険医療、住宅の貸付けなど)。
- 税率: 税率は何パーセントか。また、軽減税率の対象は何か。
- 仕入税額控除: 事業者が納税額を計算する際の控除の仕組み(インボイス制度の要件なども含む)。
- 申告・納付の手続き: いつまでに、どのような方法で申告し、納税しなければならないか。
なぜ消費税が導入されたのか
消費税は、竹下登内閣のもとで、1989年(平成元年)4月1日に初めて導入された。その導入には、当時の日本が直面していた社会・経済的な課題が大きく関わっている。
導入の最大の目的は、急速に進む高齢化社会に備えた安定的な財源の確保と、税体系の不公平感を是正する「直間比率の見直し」であった。
- 安定財源の確保: 当時、日本の高齢化は大きな課題として認識され始めており、将来的に年金や医療などの社会保障費が急増することが予測されていた。景気の変動に左右されやすい所得税や法人税だけに頼るのではなく、景気動向の影響を受けにくく、税収が安定している消費税を社会保障の財源とすることが不可欠とされた。
- 直間比率の是正: それまでの日本の税収は、所得税や法人税といった「直接税」の割合が極めて高い状態であった。これはサラリーマンなど給与所得者の負担が重くなる一方で、自営業者などの所得捕捉が難しいという「クロヨン問題(※)」に代表される不公平感(垂直的不公平)を生んでいた。そこで、資産や所得の多寡にかかわらず、消費という行為に対して広く課税する「間接税」を導入し、直接税への過度な依存を是正することで、国民全体の税負担の公平性を高める狙いがあった。
※クロヨン問題:サラリーマンの所得は9割捕捉されるのに対し、自営業者は6割、農家は4割しか捕捉されていないのではないか、という税務当局に対する不公平感を指摘した俗語。